学生にとって高専制度の魅力とは?
進路を考える中学生の立場で考えるべきは、学生としてこのような制度の魅力は何なのか?という点です。制度が学生に与える影響として、さまざまな場面に語られるのが、「高校1年~3年生に相当する年齢で、大学と同様のシステムで教育を受ける」という点でしょう。
例えば、
- 単位制のカリキュラム
- 2学期制(前期・後期)の学期区分
- 教員の資格・立ち位置
が挙げられます。特に、「教員の資格・立ち位置」については、高校とは大きく異なりますので、特筆すべき点でしょう。一般に高校の教員になるには、教員免許を取得する必要がありますが、高専の教官になるには教員免許は必要ありません。最近では、大学院で少なくとも5年間の研究生活を過ごし、博士号を取得することが条件となっているようです。
高専の教官になるパターンとしては、
- 大学院で博士号を取得し、教官の公募に応募する
- 企業で研究者として過ごし、ある程度の年齢で高専の教官に転身する
- 高専を卒業した学生で企業で開発者/研究者として働いていた方が、呼び戻される(最近はこのパターンはあまりないようです)。
高専では大学と同じように、ある特定分野に深く精通した研究者が教壇に立ち、授業を行います。このため、さまざまな分野の専門家に、より近い距離で高校1年の年次から学べます。これは、大きな魅力です。一方で、懸念点としては、分かりやすさがないがしろにされるという側面があるかもしれません。
一般的な高校と異なる幾つかのポイント
この他にも、下記の点は沖縄県内の一般的な高校と異なります。
- 実験・実習が多い。すなわち、提出するリポートに追われる
- (「研究」という言葉を使って良いかはさておき、)卒業研究がある
- 高専4年次に企業でインターンシップを体験できる
- 5年間連続して部活動を満喫できる
- 1年~2年生は全寮制で、規定のルールに沿った生活をしなければならない
- 高校と同じ年次に、大学1年~2年生に相当する学生と同じキャンパスで過ごす
筆者は、高専在学中に部活動や学生交流会、インターンシップなどで、さまざまな県の高専生と交流しましたが、どの高専も学校の雰囲気が非常に似ており、さらには学生の雰囲気もどことなく似ています。これも、高専というカルチャーによる影響なのかもしれません。
筆者にとっては、高専制度は最高の教育環境でした。しかし、このカルチャーに合わず、途中、留年し退学していった仲間も沢山います。次回は、今回の話題をもとにさらに深掘りして、高専のメリットとデメリットを解説しましょう。
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