沖縄電力が経営計画を公開、スマートメーターや太陽光受け入れ保留への言及無し

沖縄電力は2014年3月26日、2014年度の経営計画の概要を同社Webサイトに公開した。沖電グループおよび沖縄電力の重点施策の他、2014年度の電力需要や長期的な電力需要/供給能力の見通しがまとめられている。

特筆すべき点は、「電力需要を見通し、それに対する十分な発電設備、送電設備を用意し、安定的に高品質の電力を供給する」という視点だけでまとめられており、2013年度の経営計画概要とほとんど構成が変わっていないことだ。

もちろん、電力会社の使命は、電力の安定供給である。しかし、日本国内のみならず世界的に、電力インフラは大きな変曲点を迎えている。次世代の電力インフラを自らの課題として構築するという意志は、残念ながら2014年度の経営計画からは感じることはできない。

「太陽光発電」という文字はゼロ

具体的には、今後の沖縄の電力インフラを考える上で重要な2つのポイントを、2014年度の経営計画で一切言及していない。

1つ目は、沖縄県内で続々と導入が進んでいる太陽光発電を安定的に受け入れるための戦略である。既に幾つかの記事で紹介しているように、沖縄本島では300kW出力以上の比較的規模の大きな太陽光発電の受け入れを制限しており、八重山や宮古、久米島といった離島では太陽光発電そのものの新規接続の申し込みを保留している。

今後の対応やスケジュール、根本的な解決策の見通しは不透明で、沖縄県内で太陽光発電を取扱う事業者にとっては死活問題となっている。このような状況にも関わらず、経営計画の概要には「太陽光発電」という文字はひとつもない。

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小規模・単独系統だからこそ、次世代電力インフラの積極検討を!

もう1つは、次世代の電力インフラである「スマートグリッド」や、それを構成する主要な要素である「スマートメーター」に関する記述がない点だ。

沖縄電力は、従来の導入計画から7年も前倒し、2016年4月にスマートメーターの導入を始めることを決めたばかり。経済産業省の「スマートメーター制度検討会」では、スマートメーターの早期導入に消極的な沖縄電力に対し、委員から厳しい意見が相次いだ。

いわば「外圧」に押される格好でスマートメーターの導入を急ぐ状況になったが、本質的にスマートメーターの恩恵を受けるのは、電力が不安になりやすい小規模・単独系統のはずだ。

スマートメーターを使って、今まで以上にさまざまな指標がより精密かつタイムリーに取得できるようになれば、電力の需要予測も緻密になる。さらには、電力インフラ内での需給バランスの最適化も進められる。

小規模・単独系統というネックを抱える沖縄エリアだからこそ、先進的な電力インフラの構築を自らの問題として積極的に進める必要があるだろう。