沖縄教販が地元密着型ポータル「沖縄オンライン」を公開

沖縄教販が地元密着型ポータル「沖縄オンライン」

雑誌・書籍の卸し/小売りを手がける株式会社沖縄教販は2015年1月、沖縄の地元密着型ポータルサイト「沖縄オンライン」をオープンした(ニュースリリース)。「ちょっと気になる沖縄、もっと知りたい沖縄、とっておきの沖縄情報ポータルサイト」をキャッチコピーに掲げ、雑誌「uchina」のスタッフが取材した沖縄の物産・体験ツアーの他、住民参加型のコラムや写真投稿レポート、イベント情報など市町村の密着情報を集める。観光やリゾートだけではない「素の沖縄」を紹介していくという。

写真投稿レポートは、地域情報エージェント株式会社が運営する「まちのたね通信」と連携し、イベント情報についてはNPO法人沖縄イベント情報ネットワークの「ぴらつかこよみ」から提供を受ける。

「昨今 活字離れが進み、出版取次として情報の流通に尽力してきた当社も、独自の商品開発の必要に迫られてきました。自ら情報を発信するためのメディア開発と、新規のビジネスモデル構築のため、この度『沖縄オンライン』を立ち上げることとなりました」(ニュースリリース)という。

考えてみたい4つの視点

「沖縄オンライン」という沖縄情報ポータルサイトの今後の展開を考える上で、幾つかの重要な視点がある。筆者の考えをまとめてみたい。「沖縄オンライン」のコンテンツの作られ方を整理すると、雑誌「uchina」のWebへの横展開を軸に、写真投稿レポートやイベント情報、住民参加型コラムを使って「地元らしさ」の味付けをするといった構成だ。その上で考えてみたい視点は4つある。

1、沖縄観光客と地元住民。ターゲットユーザーは誰か?

サイト上を見るとホテル情報を集めた「沖縄旅行ショーケース」や沖縄物産といった観光客向けの情報がある一方で、「レポートマップ」というコーナーには沖縄在住者向けの情報が並ぶ。ターゲットユーザーを沖縄観光客と地元住民の両方に設定するのか、それとも沖縄観光客に絞るのか?それによって、コンテンツの作り方、見せ方が変わってくるだろう。

2、「素の沖縄」という切り口を如何にWeb上で具現化するか?

「素の沖縄」というキーワードをWebサイトとして具現化するには何が必要だろうか?そもそも「素の沖縄」とは何だろうか。考え出すと難しい。「素の沖縄」や「地元密着」という雰囲気を出しつつ、読んで楽しめるWebサイトを如何に作っていくか一筋縄ではいかない点かもしれない。

3、コンテンツの質を如何に担保するか?

地元住民が投稿したコラムと雑誌編集スタッフのコンテンツを混在させる構成を採るが、投稿コラムが増えたときコンテンツの質に大きな差が生まれないか気を配る必要があるだろう。

4、ビジネスモデルをどう位置づけるか?

最も重要な点が「沖縄オンライン」というWebメディアのビジネスモデルをどう考えていくかということだろう。2015年2月時点のWebサイトを見る限り、ビジネスの香りはほとんどしない。

ニュースリリースには、既刊の自社出版物 沖縄総合情報雑誌「uchina」を軸にしたメディアブランディングという位置づけだと記載してあるが、「uchina」のメディアブランディングならば、サイト名称を「uchina」に関連した名称ではなく「沖縄オンライン」にした理由がはっきりしない。また、Webサイトの中で雑誌「uchina」の紹介および購入への導線も弱い。メディアブランディングという言葉の「メディア」は何を指しているのだろうか。

ビジネスモデルとして意識しているのは、「オンライン購入」かもしれない。三線や車エビ、果物、野菜といった沖縄物産を紹介するコンテンツを販売促進に使うというのが、現在のサイトを見る限り自然に感じる。