今こそ元気の出る話題、夢のある近未来を沖縄で語ろう!

沖縄タイムスの「子どもの貧困特集」。読んでいると泣きたいような暗澹たる気持ちになる。2012年の調査だが、沖縄の子ども貧困率は37.5%と全国最悪だ(全国の貧困率は16.3%)。

魅力的な観光資源と文化を持ち、かつてはアジアの貿易拠点として栄えた沖縄がなぜ、このような状態に陥り続けているのか。国から多くの支援をもらいつつ、なぜ成果として形になっていないように感じてしまうのか。米軍基地が経済発展を阻害しているというが、本当にそうなのか――。

華やかな観光地としての表の姿と、その裏にあるコンクリート色の現実。自分に何ができるのだろうという想いとともに、ちょっと歯車が咬み合わなくなれば自分も「貧困」という言葉が決して決して他人事ではないという焦りが入り混じる。

天から降ってくるものではなく・・・

沖縄には夢のある話題や、面白い話題、ビジョンある未来の話題が決定的に欠けていると最近強く思う。USJとかディズニーランドとか鉄軌道とか、そんな天から降ってくる話題ではなく、地面から出てくるような話題だ。

日々の情報収集源として多くの方が活用している地方紙に目をやれば、米軍基地と辺野古の基地移設の話題ばかりだ。確かに重要なテーマだ。ただ一方で、読み手としては気が滅入るだけで、何も生み出していない。このような環境にいて、元気が出るだろうか、夢を持てるだろうか。

少なくとも筆者がものごころ付く20年以上前からから、ずっと米軍基地の問題に沖縄の莫大な莫大なエネルギーを費やしてきたが(費やしているように見えるが)、結局のところ大枠は何も変わっていない。

さまざまな新しい建物/商業施設が立ち、コールセンターを中心とした多くの企業が誘致され、確かに失業率は下がり、求人も多く溢れている。ただ、時給750円、月給15万円という文字が並ぶ求人誌をみるたび、魅力的な観光資源と文化を持っているはずなのに、首都圏との格差はなぜ生まれるのだろうという素朴な疑問を持ってしまう。

問題の根っこは情報流通のあり方?!

経済的な課題も含めた沖縄のさまざまな問題は、「情報流通のあり方に問題の根っこがある」というのが、筆者の結論だ。

ポリタスの投稿が話題をよんだ沖縄大学の樋口耕太郎教授のセミナーに参加したとき、日本人初メジャーリーガーである野茂英雄の紹介があった。彼がメジャーリーグに行くまで、誰も日本人がメジャーリーグで活躍できると思っていなかった。ただ、野茂英雄が活躍する姿を見て、日本人が次々とアメリカで活躍するようになった、という話だ。

例外が、世の中の雰囲気をがらっと変える。例外が生まれたとたん、それはもはや例外ではなくなる。「沖縄の野茂英雄」を発掘し、強く広く紹介することが、未来の沖縄を創る。それが、今の沖縄の情報流通に決定的に欠けているのではないか、と思うのだ。

例えば、スケルトニクス株式会社は、今までの沖縄にはなかったタイプの面白い会社だ。沖縄初、沖縄発のロボットベンチャーだが、徒手空拳で東京、世界を舞台に頑張っている。ただ、彼らの価値を感じ、大きく取り上げているのは、首都圏の大手メディアである。

「新技術普及のトリガー役を目指す」、 ロボットベンチャーのスケルトニクス株式会社が始動

2013.11.13
「IEEE第7回エッセイコンテスト」で沖縄高専の女子学生が大きな賞を取った。エッセイの内容は、夢とビジョンのある、そして地面に足の付いたとても素晴らしい内容だ。IEEEというエレクトロニクス分野の団体のエッセイコンテストだが、多くの学生に読んでほしい。きっと、元気付けられるはずだ。ただ残念なことに、この情報が沖縄という地域で広く流通することはないだろう。

ここ数年、「沖縄の野茂英雄」が次々と生まれる兆しが見え隠れする。IT frogsやデジラボ沖縄、沖縄大学院大学(OIST)や沖縄高専などが主催する各種の教育的なイベントは、きっと近い将来、沖縄を少しづつ良い方向に変えていくのだろう。

新しい話題、面白い話題、ビジョンのある未来の話題を、沖縄のなかで巡り巡らせる情報流通の発達に期待しつつ、当ブログメディア「ちぶりあん沖縄」もその一翼を微力ながら担うべく、情報の発掘・発信を進めていきたい。

デジラボおきなわ第3弾「クリエーターズキャンプ」が8月15~17日開催

2014.08.06