【番外編】高専入学後、こんなはずじゃなかった…と悩むあなたへ

番外編です!
今回は沖縄高専の在学生を対象にした番外編になります。あらかじめ、ご了承ください。

ありきたりな言葉かもしれませんが、高専在学中の16歳から20歳というのはとても多感な時期です。

あるときは自分の能力に自信満々で疑いを持たず、あるときは自分の人生はこの先どうなっていくのだろうという不安を持ち。自信と不安の間を行ったり来たりしながら、勉学に向き合い、自分の人生について考える、そんな5年間なのだと思います。

沖縄高専の意義と未来」と題した連載の中で、高専のことを「入学して非常に良かったと感じる人と、入らなければ良かったと感じる人が分かれる教育機関」というように表現しました(関連記事)

現在、沖縄高専に在学中の方の中にも、毎日が充実している方もいれば、専門科目の毎日の授業を苦痛にしか感じない方もいるでしょう。今回は番外編として、夢と希望を持って高専に入学したものの、イメージとの差や専門科目の難しさに、こんなはずじゃなかった、合わない……と感じている方にメッセージです。

どんな道を歩もうとも、洋々とした未来が広がっている

もう10年以上も前のことになります。筆者が入学した高専の電気工学科では、入学時には42名の同級生がいましたが、結局卒業したのは30名前後でした。残りのおよそ12名は、留年または退学した数ということになります。

退学した人が不幸になったかというと、決してそうではありません。ある人は、ホテルの音響エンジニアになり、ある人は居酒屋のマスターになり、ある人は警察官になり、ある人は海外でまったく違う職種に就き。退学した人も、それぞれの人生を一生懸命に歩んでいます。

かくいう筆者も、電気工学科に入学し、大学の3年次に編入(電子工学科)、その後大学院まで進みましたが、結局、現在はその学科とは180度異なる分野で就業しています。学費を出した親の立場からすると、学費を無駄にした!、なんてもったいない!、ということなのだと思いますが、その時その時で一生懸命に考えた結果の“今”なので、何の後悔もありません。

人生について真剣に悩むというのは、10代~20代前半の期間だけに与えられた特権です。ぜひ、いろんな人に相談しつつも、自分の頭で考えて、自分のキャリアと人生を選んでください。下記に、幾つかのケースに分けて進み方を紹介します。

1、卒業までどうにかこうにか頑張れる方

専門科目の授業を聞いてもまったく面白くない、ちんぷんかんぷんだけど、どうにかこうにか卒業できそうという方は、頑張って卒業しましょう。もう耐えられないという方は「2、卒業できそうにない方」の項目を見てください。

卒業後の進路として、就職(選択科目の分野)、就職(選択科目以外の分野)、大学3年次に編入学という3つの道があります。

選択した学科の道をそのまま進んでも良いと思う場合

勉強はできないけれどどうにかこうにか卒業できる、卒業後、就職先にこだわりはないという場合、できるだけ大手企業に就職しましょう。なぜ、大手企業かというと研修が充実していて、一般的にいろんなことに組織として余裕があるからです。

学生時代に勉強が苦手でも、就職してガラリと雰囲気が変わり充実した社会人生活を送っている人もいれば、必死になりながらどうにかこうにか社会人生活を送っている人もいます。なにはともあれ、社会人になることで視野がぐんと広がると思いますので、就職した先で、全力で業務に向き合うことで、考え方も変わってくるかもしれません。

高専の雰囲気は合わないけれど、選択した専門学科は好きという方は、迷わず大学の3年次の編入しましょう(経済的に許す場合)。

選択した学科はまったく合いませんという場合

頑張って、理系以外の就職先を探すというのも手ですし、大学編入時に理系と文系が融合したような学科を選択するというのも手です。沖縄高専に入学できている時点で、ある程度勉強ができる方だと思いますので、編入時の学科をどうにか方向修正して、編入先で頑張るというのも手です。

戦略的?に選択した専門学科の大学3年次に編入学し、大学の新卒として、全く異なる分野の企業の就職試験を受けるというのも手です。一般に、高専から大学への編入学は大学院まで進むことが前提かと思いますが、必須ではありません。

大学の新卒になると、高専に比べると圧倒的に就職先の幅が広がります。キャリアを変更するために、あえて大学の3年と4年の2年間を同じ学科で耐えて、大学卒業時の就職試験を頑張ってキャリアを変えるという方法です。

2、卒業できそうにない方

高専5年間は重要な5年間ですが、それがすべてではありません。まったく合わない、耐えられないという方は、早々に見切りをつけるというのも手です。

罪悪感を持つ必要はありません。中学卒業時に専門とする学科を決めてしまうことに無理があったのだと思い切りましょう。

退学すると決めたら、すっぱり前を向きましょう。高専を中退したことを後々まで引きずってしまうことほど無駄なことはありません。

どんな状況になろうとも、前向きに!

社会に出て感じることだと思いますが、本当に、本当に、いろいろな人、いろいろなキャリアがあります。理系から文系というキャリアを選ぶ人も、その逆で、文系から理系というキャリアを選ぶ人も多くいます。

今いる専門学科の中での選択肢を選ぶことも重要ですし、基本的にはそれをお勧めします。ただ、専門分野や進路をガラリと変えたとしても、それはそれで、あなたには洋々とした未来が広がっているはずです。

結局、どうにかこうにかであっても――時間は進み、人生は前に進んでいくのです。きっと、今あなたが悩んでいることも、10年後にはきっと笑い話になっているのかもしれません。どんな進路を選ぼうとも、ネガティブにならず、前向きに、楽しみながら人生を歩んでいきましょう(私自身へのメッセージでもあります)。