第3回 高専の「メリット/デメリット」は表裏一体

高専の「メリット/デメリット」

>>第2回 なぜ進学する前に高専について詳しく知るべきなのか?

>>「沖縄高専の意義と未来」の記事一覧

メリットとデメリットを正確に理解しよう

本特集の第1回では、沖縄高専についてまとめるきっかけを紹介し、続く第2回では、高専の制度の概要をわかりやすく紹介しました。沖縄高専に行きたいなぁ~と考えている中学生の皆さま、そして親御さんが気になるのが「高専に行くとどのようなメリットがあって、逆にどのようなデメリットがあるのか?」ということでしょう。

第3回ではさらに深堀りし、高専制度のメリットとデメリットを詳しく解説しましょう(今回の内容は、一般的に高専に行くメリット、デメリットだとお考え下さい)。第2回で紹介した通り、高専制度の最大の特徴は、5年間の一貫した専門教育という点にあります。このような高専制度のメリットとデメリットは、下記の通りまとめることができます。

中学卒業時に専門分野を決めるということ

○自分の興味のある専門分野を5年間思う存分勉強することができる
×自分の専門分野を中学校が卒業する時点で決定してしまうことになる

高校に相当する年次から専門科目を勉強する高専生。興味を持つ分野を5年間という長い時間をかけて、じっくりと勉強することができます。大学の工学部に入った場合ですと、専門科目の受講が本格的に始まるのが2年生から。そして、大学4年生になると、授業はほとんどなく就職活動と卒業研究がメインになりますので、高専の方が時間的には余裕を持って専門科目を勉強できると言えます。

一方で、中学校を卒業してすぐに自らの専門分野を決めるということはある種、リスクを伴います。中学校の時点で自分の特性は分かりにくいものですので、高専に入る時点で学科を決めるのは勇気のいることかもしれません。

沖縄高専には、「情報通信システム工学科」、「メディア情報工学科」というように「情報」と名のついた似たような学科が2つあるため、選択をより難しくしているかもしれません。言葉の持つイメージでは無く、シラバス(授業内容の説明書)を読み、入試の難しさではなく学ぶ内容を考えて学科を選択した方がよいでしょう(沖縄高専の各学科の特徴については、別途詳しく説明する予定です)。パソコンやWord、Excel、Power pointを使えるようになりたいから「情報」と名のつく学科に行きたいといった程度のイメージで、これらの学科を選択するのは非常に危険です。

専門学科以外の授業量

○専門科目の内容をしっかり、広く勉強することができる
×大学に比べると文系科目、教養科目がびっくりするほど少ない
高専は専門科目に重点をおいてますので、専門科目を広く網羅することができますが、大学の一般教養科目に相当する授業が少ないというのが実情です。見出しで、専門科目を広くと書きましたが補足が必要かもしれません。琉球大学の機械系学科である「工学部機械システム工学科」と、沖縄高専の「機械システム工学科」を例にとりましょう。

琉球大学の工学部機械システム工学科だと「材料」、「熱流体」、「数理機械」と講座が分かれており、授業内容も細分化され、多くの選択科目の中から興味のある分野を選択するという雰囲気だと思います。それと比較して沖縄高専の機械システム工学科ですと、必修科目の割合が多くなっていますので、機械工学にまつわる各分野をまんべんなく勉強しないといけないことになります。それが「広く」と書いた意味です。

受講可能な「文系科目」や「教養科目」については、大学と高専では比べものにならないほど差があります。筆者が高専卒業後に大学3年次に編入したときに一番衝撃を受けたのが、理系学科であっても、時間の許す限り、文系科目や教養科目を多く受講できることでした。技術者になるには、技術のことだけを勉強してればよい、というわけではありませんので、受講できる文系科目や教養科目が少ないことは高専の大きな弱点と言えるでしょう。

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