第4回 高専の授業編 ~高校年次から大学と同じシステムで学ぶ~

高専の授業は、高校や大学とどのように違うのか、ご紹介しましょう。

>>第3回 高専の「メリット/デメリット」は表裏一体
>>「沖縄高専の意義と未来」の記事一覧

各学年で雰囲気も授業内容も大きく変わる

「沖縄高専の意義と未来」と題した特集も今回で4回目となります。第3回では、コインの裏と表のような関係にある高専のメリットとデメリットをお伝えしました。今回は、高専生活によりイメージをもってもらうため、「授業」にフォーカスを当てましょう(おすすめ記事学生にとって高専制度の魅力とは?)。

2013年度現在、沖縄高専の授業時間は1限が90分で1日最大4限が設定されています。前期と後期に分かれ、必修科目または選択科目に分かれた各授業の単位の取得状況によって、進級や留年が決まります。全国各地の高専のよって異なりますが、沖縄高専では1年生と2年生は混成学級(学科にこだわらずクラスが決められる)、3年生以上は学科別のクラス構成となっています。さて、高専は1年生~5年生まである訳ですが、学年によって授業内容の様相が異なります(高専の一般的な話だとお考えください)。

1年生

基礎科目(国語、社会、生物、科学、数学)がメインになり専門科目はちょこっと触る程度です。1年生の時は、ほとんどの学生がまじめに授業を受けるようです。一般的なお話として、学校の雰囲気になじめず、入学してすぐに退学する学生もいます。

2年生~3年生

基礎科目が徐々に少なくなり、専門科目の基礎となる授業が増えてきます。この時期は高専生にとって非常に重要な時期です。専門科目の授業が増えてくるにつれ、やっぱり合わなかったと進路変更を考える学生もちらほら出てきます。2年生~3年生に基礎的な専門科目を理解しないままでいると、4年生~5年生での専門科目がほとんど理解できないことになります

沖縄高専寮は2年生まで全寮制ですが、3年生から希望制となるようです。3年生以降は、アパートを借りて通学する人も出てきます。3年生といえど、大学入試も無く高専自体、自由な校風なので、学業期間は部活やレポートにいそしみ、長期休暇に自動車免許を取るという雰囲気になります。

3年生あたりで専門科目を勉強する楽しさを覚える人もいれば、パチンコやスロットにはまる人も少なからず出てきます。3年生あたりから授業を休むこと(いわゆるサボること)も結構普通になってきます。3年生から4年生への進級が一番難しく、単位の取得状況によっては、留年ということになります。

4年生

大学の一般教養科目に相当する科目が一部あり、後は朝から晩までひたすら専門科目漬け、レポート漬けになります。4年生ともなれば、寮では指導寮生、寮生会、学校では学生会、部活では責任ある役割を任されることになります。高専では4年生が学校の中心となります。

5年生

5年生に進級すると、妙に隠居しているような雰囲気が漂ってきます。5年生の前半は就職活動、編入試験、後期は卒業研究にいそしむことになります。

大学に比べると比較的丁寧に授業する傾向

高専の授業の雰囲気は、ざっくりというなら「大学の授業と高校の授業の中間ぐらい」という感じでしょうか。高校に関しては学習指導要領に沿って、ある程度、どの高校でも同じような教科書で同じような内容の授業が行われるようですが、高専では(高専間で)教科書もバラバラ、授業内容も教官の個性に依存します。

大学ではがっちり授業で1から10まで教えるというよりも、教官はその科目で重要な項目、考え方、概念を教え、あと細かいところは自分で考えるという雰囲気です。大学では「学ぶ環境を与えている」というスタンスが明確ですのである意味、すっきりしています。大学では自分で勉強するということが非常に重要になってきます。

まとめると、高専の授業の雰囲気は、大学と比較すると、1から10まで丁寧に教えてくれるという雰囲気です(良い悪い別にして)。ただ、学ぶ内容は、高校と比較すると個性がありいろいろな面白い授業を受けることができる、と言えるでしょう。

大学と比べて高専の授業の雰囲気はどうでしょう? もちろん、学科や科目に依存しますが、大学に比較すると、まじめに授業を受けている学生が多いという印象です。高専の学生は、なんやかんや言ってもまじめな学生が多いですので、理解しているしていないは別にして、レポート〆切り間際やテスト直前になるとみんな必死に勉強しているようです。

以上にまとめたことは、「沖縄高専では」と書いてある部分以外は、高専の一般的なお話ということにご注意ください。筆者の実体験およびさまざまな高専の学生との交流における情報をもとにまとめています。ただ、どの高専も雰囲気は非常に似ていますので、沖縄高専でも大枠は外れていないはずです。さて次回は、寮生活に焦点を当て、雰囲気をお伝えします。

第5回 高専の寮生活編(1) ~独特の環境に浸る5年間~

2013.07.29

>>「沖縄高専の意義と未来」の記事一覧