(続編)宮古島の太陽光新規接続保留、沖縄電力が抜本的解決に動く意思は無し

沖縄県の宮古島、石垣島、久米島において、沖縄電力が太陽光発電の新規接続を保留している問題で、沖縄電力が説明会を開催する(関連記事)。5月22日に宮古島で開催する説明会向けに公開した資料から浮き彫りになった点を箇条書きで紹介しよう。

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1、沖縄電力が抜本的な問題解決に動く意思は無し

太陽光発電の新規接続を保留している問題に対し、沖縄電力が直近で対策を求めたのは太陽光発電の事業者に対してである。具体的には以下の2つだが、売電を目的に太陽光発電を導入する企業にとっては、いずれも厳しい条件だ。

・パワーコンディショナーによる出力抑制
冬場の電力安定化が厳しい時期には、太陽光により発電された電力を出力しないことを条件に契約する。

・導入する企業側による蓄電池設置
太陽光発電で昼間に発電した電力を蓄電池に充電し、他の太陽光発電の出力が大幅に下がる18時~8時に放電するという対策を実施する企業には、個別に協議する。

一方で、沖縄電力側の対策として、以下の2つを挙げている。

1、宮古島系統において、冬場など需要バランスが厳しい期間、沖縄電力の風力設備(600kW)、太陽光設備(4,000kW)は停止。他企業の受け入れ量を拡大する。

2、宮古島系統において、冬場など需要バランスが厳しい期間、既設の蓄電池(NAS電池4000kW)を昼間充電運用として利用。接続可能量を上積み。

いずれも既にある設備の運用を改善しようという話にとどまる。沖縄電力自らが資金を投入し、電力安定化用の蓄電池を導入といった抜本的な対策には踏み込んでいない。沖縄電力は利潤を求める企業である一方、電力という社会の基幹インフラを担う公的な側面を持つ企業である。太陽光発電の事業者側に対策を求めるのであれば、沖縄電力自らも一歩踏み込んだ打開策を打つ必要があるのではないだろうか。

2、再生可能エネルギーを合算すると、宮古島で必要な電力をまかなえる規模に迫る

エコなエネルギーとうたわれる風力発電や太陽光発電を促進し、「エコアイランド」のブランド化を進めてきた宮古島。再生可能エネルギー固定価格買取制度が2012年7月に施行されて以降、急速に太陽光発電設備の導入が進み、導入済み/申込みを合算すると宮古島全体の需要に迫る発電規模に達しつつある。ここまで、再生エネルギーの導入が進んだ事例は、日本国内でも初めてだろう。

スマート化された新しい電力網(スマートグリッド)を活用し、再生エネルギーの導入割合をどこまで高められるのか――。これまで世界各国で進められてきたさまざまな研究開発の知見を、日本国内のみならず世界に先駆けて実フィールドに展開できる環境が、宮古島にある。

沖縄電力は、資料の中で以下のように記載している。

国が行う、接続可能量拡大に向けた送電網実証事業において、気候変動予測、大型蓄電池制御、出力抑制等を組み合わせた新たな送電網の制御・管理技術について実証事業を行う予定があり、離島での接続可能量の拡大に寄与する成果が得られれば、その成果を活用し、積極的に接続可能量の拡大に努めていきます。

この実証実験はいつから始まり、期間は何年になるのだろうか。その間、沖縄において太陽光発電を主業とする企業の事業計画はどのように立てればよいのだろうか。「国が行う」ではなく、「沖縄電力が行う」を主語にし、近未来に目を向けた沖縄の社会インフラ構築を進めていく必要があると考える。

沖縄宮古島の太陽光新規接続保留の問題、現在の状態が明らかに

2014.05.21