沖縄宮古島の太陽光新規接続保留の問題、現在の状態が明らかに

沖縄県の宮古島、石垣島、久米島において、沖縄電力が太陽光発電の新規接続を保留している問題で、沖縄電力が説明会を開催する。まず、宮古島で2014年5月22日(木)に、石垣島および久米島では5月下旬に予定している。主に以下の3つの項目について説明がある模様だが、同社が説明会向けに発表した資料から太陽光発電を巡る宮古島の電力インフラの状態が明らかになってきた。

  • 各離島における電力系統の概要
  • 再生可能エネルギーの導入状況
  • 接続可能な対策等について

(続編)沖縄宮古島の太陽光新規接続保留の問題、沖縄電力が抜本的解決に動く意思は無し

宮古島では電力需要に迫る太陽光発電が申し込まれている状態

沖縄電力が宮古島や石垣島、久米島において、太陽光発電の新規接続を保留しているのは、発電量全体に占める太陽光発電の割合が多くなりすぎると、電力供給が不安定になるからだ。発電所では、需要に対して供給量をうまくバランスさせることで、周波数を一定に保ち、安定した電力を供給している。仮に、太陽光発電の出力が増え、需要量に対して供給量が上回る状態が続くと、需給バランスが崩れ、最悪のケースで島内がすべて停電する「系統ブラックアウト」が発生してしまうのだ。

実際、沖縄電力の計算では、宮古島で必要な電力規模(「需要規模」と呼ぶ)が22465kW(2012年1月の昼間の最小値)で、再生可能エネルギーの受け入れ可能な電力規模はその88%程度に相当する19710kWだという。これに対して、2014年4月1日時点の太陽光発電の接続申込み量は、受け入れ可能な19710kWを上回る20515kWに達している※1)

沖縄宮古島の太陽光新規接続保留の問題

このような状態を踏まえ、沖縄電力では、現在のところ以下の対策を実施している。

  • 先に接続申込を受け付けた事業者が申込を取り下げた場合に、受付順の接続申込み事業者より随時接続受入れを行う(家庭用などの規模の小さな太陽光発電も含む)。
  • 受入困難と判断される場合であっても、接続に当たり一定期間の出力抑制を行うなど必要な対策を実施して頂く場合は、引き続き、個別に検討、協議する。

宮古毎日新聞の5月17日の報道によれば、「新規の接続を希望する事業者や個人に対して(沖縄電力が)回答を保留している件数が約190件(4月23日現在)に上ることが分かった。3月10日時点の20件から大幅に増えている」という。宮古島で太陽光発電に関わる事業者にとって先行きのはっきりしない状態が続いてきたが、沖縄電力の開催する説明会でどのような解決策が示されるか注目したい。

なお、宮古島と石垣島、久米島以外の離島については、現在のところ沖縄電力が想定する接続可能量に達していない。ただ、発電規模が小さく接続可能な電力値が小さいという離島ならでは特性があるため、「ご心配の向きは、当社に直接お問い合わせいただくようお願いします」(沖縄電力の発表資料)と説明している。

(続編)宮古島の太陽光新規接続保留、沖縄電力が抜本的解決に動く意思は無し

2014.05.21

脚注

※1)ここで電力需要規模の数値に「昼間の最小値」を使っているのは、最も厳しいケースになるため。すなわち、太陽光発電の発電量が大きな昼間の時間帯において、需要電力が最も小さいときが、太陽光発電の割合が最も大きくなり、系統が不安定になりやすいケースとなる。同じ考えで、電力需要の高い夏季よりも、需要の小さな冬季が厳しい条件となる(太陽光発電の発電力の季節変動幅は、需要の季節変動よりも小さい)。