宮古毎日新聞と沖縄タイムスの報道によれば、沖縄電力が宮古島市における太陽光発電の新規接続を保留していることに関し、宮古島市の下地敏彦市長が2014年3月28日に沖縄電力に対して、継続的な受け入れを求める要請書を提出した(関連記事:沖縄の電力インフラに異変あり、沖縄電力が離島の太陽光発電の新規接続を保留)。
宮古島市は、太陽光発電を導入し、エコな街づくりを目指す「エコアイランド」というブランド構築を積極的に進めてきただけに、今回の受け入れ保留はさまざまな施策に影響を与えそうだ。新聞報道によれば、沖縄電力は宮古島市ですでに買電を始めている1万kWと買い取り接続を許可した7700kWの合計1.77kWについては受け入れるが、新規に申込みのあった20件については接続の可否を保留している(2014年4月10日現在)。
全国でも例のない事態に先行きは不透明
沖縄電力が太陽光発電の新規接続を保留しているのは、電力品質への影響が懸念されるため。電力品質が下がれば、急な停電が発生したり、さまざまな家電/電子機器にも悪影響を及ぼす可能性がある。
電力品質への影響を理由に、太陽光発電の受け入れを保留するのは全国で初の事例となる。沖縄本島および県内離島は電力の系統規模が小さいため、供給量が時間的に安定しない太陽光発電の影響を受けやすい。このことが、今回の接続保留の背景にある。
しかし、沖縄県内において太陽光発電を導入する機運が高まっていることは数年前から分かっていたことで、対応の遅れは否めないだろう。受け入れ可能な太陽光発電の容量を増やすには、大規模な蓄電設備を導入したり、電力の需要と供給量を緻密に制御するスマートグリッドを導入することが必要だが、全国でも例のない事態だけにしばらく時間が掛かりそうだ。
沖縄電力が、経済産業省資源エネルギー庁の「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業」として、2009年度から実施してきた「宮古島メガソーラー実証研究設備」の実証実験が、意味のあるものだったのか今試されていると言えるだろう。
なお、沖縄と同じく電力の系統規模が比較的小さい北海道電力も、大規模な太陽発電の受け入れが限界に近づいているが、公開されている情報の範囲では現在のところ受け入れを制限していないようだ(経済産業省のニュースリリース)。